2012年11月16日金曜日

【書評】食の世界地図/21世紀研究会


世界中の食材,食事の歴史や起源につき,雑多に書かれている印象。

しかしそれは仕方がない。

なぜならば,料理は,気候や地理に,宗教(イスラム教の禁忌とか)に,人や科学技術(ナポレオンの缶詰とか)に,経済による人の移動(大航海時代やグローバリゼーション)により,影響を受けている雑多なもの,否,自由なものだからである。

そのため,内容そのもの(特に前半)は読み物としておもしろい。実際に海外を旅行した人,特に先進国以外にしばらく済んだ人なんかはリアリティがあってよりおもしろいと思います。

ただ,魅かれるところとないところがハッキリ分かれたので,興味のあるところだけ読めばよいのではないでしょうか。

また,様々な事例があるので,そこからメタ思考,帰納法で食文化の影響の公式を作りだし,現代の料理に当てはめることがおもしろい。中国のアフリカ進出による食文化への影響等,未来を想像する道具としては非常に興味深い。

以下,個人的に参考になったところを記します。

■15世紀以前の食文化
 ・コメ食文化:日本,東南アジア
 ・雑穀食文化(トウモロコシ,芋):中米,アフリカ
 ・ムギ食文化:地中海地方~中東~インド
 ・根菜食文化:大洋州,南米
 ※中国は上記すべてを含んでいた。だから地方によって料理が異なるのかも。

■スパイス文化
 ・トウガラシ:中南米
 ・醤油・味噌:日本,中国
 ・ハーブ,スパイス:ヨーロッパ
 ・スパイス(中東):
 ・スパイス(インド系):インド,東南アジア
 ・ココヤシ圏(ココナッツ・ソース,ココヤシ油):大洋州,東アフリカ
 ・油科植物圏(シアバターとか):アフリカ真ん中らへん


(結構ざっくりと書いているので,興味のある人は実際に読もう)

■トウガラシは,最初コロンブスが持ち帰ったものの見向きもされず,結局ポルトガルがブラジル東海岸で最発見し,アフリカ西海岸,喜望峰,インドの西海岸,マレー半島,中国のマカオ,長崎,インドネシアへと世界を一周して唐辛子を連れて行った。

■コロンブスの時代以降に世界中で知られるようになったものとしては他に,ジャガイモ,トマト,唐辛子,トウモロコシ,インゲン豆,サツマイモ,キクイモ,キャッサバ,カボチャ,アボカド,パイナップル,ピーナッツ,カカオやバニラなどがある。

■メキシコにタバスコはない。唐辛子の利用に何千年という歴史をもつメキシコの人々は,市場に出ているだけでも百種はくだらないという唐辛子のなかから,料理や好みによって何種類かを選んでその場に合わせた辛さと香りのサルサを作るからである。
タマネギのみじんぎり,トマト,ライムの汁,コリアンダーの生の葉が入っている。

■イタリア人も同じく,トマトソースは何百という種類がある。自分も好き勝手作ろう。レシピ本にいつも従う必要はない。

■コメにはインディカ米とジャポニカ種がある。インディカ種のほうが油とともに調理することが多い。チャーハン,ナシゴレンは炊いたご飯を油で炒める。





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