2012年12月12日水曜日

書評:イタリア人の働き方(内田洋子,シルヴィオ・ピエールサンティ)

イタリアは,5700万人の人口に対し,法人登録が2000万社あるという。
すべてが機能しているならば,労働人口はほぼ全員社長。

本書では,その内15人の人生を紹介している。
簡易な文章で,人柄も伝わってきて,さくさく読める。

そのため,分析の視点が少々物足りない感じがする。
特に,なぜこのような経済構造(そもそも本当に皆社長か疑問だが)が成り立つのか。

起業側の都合は節々にて触れられている。侵略される歴史(さらには毎年解散する国会や財政赤字等も理由なのだろうが)によって生まれた国家を信じない無政府主義,「独創性とずばぬけた品質」,そして驚きを重んじる姿勢,家族主義等。

他方,税制優遇措置(中小企業への免税),法制度,起業支援体制等,側面の条件は他の国とどう異なっているかという切り口の説明も読んでみたい。

多くの関心事項に答えず,データに裏打ちされる本でないものの,イタリア経済に興味を持たせる意義深い本であった。停滞や閉塞感に苦しむ日本にとって,目指すべきオプションのひとつを示しているのかもしれない。

余談であるが,筆者がまえがきで書いた一文は心に残った。
「イタリアの企業人たちの間に流れるスピリットは,人間性回帰である。世界の大半が,利益追求に躍起になっているのをよそに,イタリアは個人の幸せを基盤にした,新ルネサンス時代を悠然と進んでいるのである。」

無粋なことは考えずに,イタリア人らしく魅きつける文章に,単に酔いしれることとする。

2012年12月1日土曜日

書評:「銅メダル英語」をめざせ!

英会話能力を、「英語力」と「コミュニケーション力」の2つに分解し、さらに「英語力」が過度に重視されすぎていると筆者は主張。ネイティブを100点の能力としたら、会話する上で必要な「銅メダル能力」はたったの20点でよい、と。ある程度英語はしゃべれるけれども、どこかしら気おくれする人にお勧め。

確かにこの本を読んですぐ後に外国語で会話すると、いつもより饒舌になります。
特に以下の3点が頭のどこかで意識され、いつもより人を引き付ける話し方になるのだと思います。

①ネイティブは英語の良し悪しをあまり重視していない。正確さにこだわりすぎない。
②むしろ内容がおもしろい・興味深いこと
③②のように聞かせる雰囲気づくり(笑顔等)が大事

あとは以下の点が参考になりました。
・銀メダルを目指すには、多読を行う。タイムを毎週40ページ(ただしやりたい形で)、5年間
・英会話は社交ダンスであり、組んでやると同時に、1人で練習してしっかり形を作ることも重要。